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“先見の明”放談 ~クロモリからエアロ、そして未来へ~

最近、クロモリフレームを設計していると、なんだかほほえましい気持ちになる。

細身のパイプを少しだけ潰しただけのチューブや、リムを数ミリ高くしただけで

「エアロマシン!」

と騒いでいた時代の情熱が愛おしい。今の徹底的に最適化されたエアロカーボンフレームと比べると、微笑ましくて仕方ない。

当時のマーケティングを振り返ると、

「これで風が切れるぜ!」

という熱量が可愛らしく感じる。

でも今なら笑ってしまうレベルだよね。

そしてふと思う。

今の最先端エアロフレームも、30年後には同じように

「風洞実験? 前から風当ててただけじゃん。今は風向きでフレーム形状がリアルタイムで変わるんだよ」なんて言われてるかもしれない。

なぜなら、俺の先見の明はなかなかのものだからだ(笑)。

 

失敗の美学:コリマのエアロシートピラー

そんな昔のエアロパーツの中で、特に印象深いのがコリマ(CORIMA)のエアロシートピラーだ。
もうね、ただの板!!!
極端に扁平化されたカーボンブレード形状は、

まさに「空力最優先」の象徴。

横方向にしなりまくり、固定も甘くてガタつきやすい、

……完全に本末転倒だった。

当時のカーボン技術で無理に作ったらこうなった、という好例。

剛性を犠牲にしてまで平たくした結果、ペダリングでビヨンビヨン動いてロスが増える始末。

でもこれもまた、時代の実験精神の産物として愛おしい。現代のエアロシートピラーはちゃんと剛性と空力を両立させているから、技術の進歩を実感する。

 

輝いていた先駆者:システムUのジタンTTバイク

一方で、ちゃんと「良かった」と思える旧世代エアロもある。

システムUチームが乗っていたジタン(Gitane)のTTバイクだ。

1980年代後半、ルノーF1の風洞を活用して本気で空力開発したフレームは、当時としては革命的。翼型チューブや全体のフォルムにこだわり、「自転車本体も空力を最適化する」という発想を形にした。

今見るとまだ原始的で重い部分もあるが、ブルホーンバーやパイプ形状の工夫に、当時のプロたちの本気が伝わってくる。Fignonらが活躍した時代のマシンは、デザイン的にも歴史的にもカッコいい。

どうせ自転車ライターはまた……

どうせその頃の自転車ライター(もしまだ生き残っていたら)は、

「今のエアロバイクは最高だよな! 空力・剛性・軽量の三位一体で完璧! 過去の自転車なんて原始的で非効率だった」

なんて今をほめちぎったくせに、

さらにその先の未来になったら「あの頃のエアロ全盛期のバイクは実はくそだったな……過剰最適化で人間味ゼロの冷たいマシンだったよ」

なんてことを平気で言い出すんだろうな。

いつの時代も同じだ。自分の乗っていた(または書いていた)時代を美化して、過去のものをdisるのがお約束。

結局、時代が変われば手のひらを返したように過去をdisり始める。

ほんと、笑えるよな。

……あ、でもその頃にはもうライターなんて職業、AIに全部取られてなくなってるだろ(笑)。

「人間のライターは良かったよなあ……」

なんて、AIが代わりに書いてる記事の中で、また誰かが懐かしがってるのかもしれん。

自転車史は「先見の明」の繰り返し

クロモリ時代 → 過激エアロ実験時代 → 現代のCFD全盛時代。

自転車技術はいつも「これで速くなる!」という熱狂と、少しの失敗と、そして確実な進化を繰り返してきた。

昔のクロモリフレームが今でも愛されるように、現在のエアロ至上主義もいつか懐かしくなる日が来るのだろう。

そしてまた新しい「先見の明」を持った人たちが、次のステージを切り開いていく。
この連鎖が、自転車という趣味の醍醐味だと思う。

危機感を持てよ、お前。

時代に流されず、自分の直感を信じて、少しだけ先を走る。

自転車いじりも、人生も、同じだ。

これからも、面白いパーツや歴史の話を見つけたら、またここに書いていこうと思う。

TOSHIだ。
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