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肘掛けの王座と、なで肩の俺

肘掛けの王座と、なで肩の俺

児玉利文|
ねえ、君、飛行機とか新幹線に乗るとき、肘掛けってどうしてる?

俺みたいな引っ込み思案の人間は、いつも「どっちが使っていいんだろう」って遠慮して、結局両方譲っちゃうんだよね。で、気がつけば肩がなで肩になってる。笑えるだろ、こんな大人。

昔から思うんだ。この狭いシートで、3列掛けの真ん中に座った人が一番可哀想じゃないかって。窓側は壁に寄りかかれるし、景色も独り占め。通路側は足を投げ出せるし、トイレにも逃げやすい。

でも真ん中の人は? ただのサンドイッチ状態。左右から人間の壁に挟まれて、身動き取れず。

だからこそ、真ん中の人は両方の肘掛けを使っていいっていう暗黙の国際エチケットがあるらしいんだよ。知らなかったよ、俺。

「おいおい、国際線ではそれが常識なんだぜ」って、ちょっと上から目線で言ってみたくなる。

実際、海外のフォーラムとか見てると「middle seat gets both armrests」って結構コンセンサス取れてるみたいだ。

なるほどねえ。慰謝料みたいなもんか。

でもさ、現実はそう甘くない。

肘を堂々と置く「無法者」がいるんだよ。最初から「俺のもの」みたいな顔して両方乗っけてくる。

僕みたいなひねくれた人間は、そんなやつを見るとつい戦いを挑んじゃうんだ。「お、肘を上げた瞬間だ」ってタイミング見計らって、自分の肘をスッと入れてみる。

一方で、向こうが遠慮してる人を見ると、こっちまで遠慮しちゃう。

……これ、本末転倒だよね。結局、遠慮屋同士が損して、強者だけが肘を広げてる世界。

だから思うんだ。

国際基準で決めちゃえよ、と。

「右側の肘掛けは右の人優先」とか「真ん中は両方OK」とか、はっきりルール化してくれれば、みんな平和に肩を並べられるんじゃないかって。

文化も国も違う飛行機の中で、「なんとなくの空気」で決めるから、余計にストレス溜まるんだよなあ。

今度、真ん中席に座ったら、僕はちょっと王族気取りで両方使ってみようと思う。

文句言われたら、にっこり笑って

「あぁ、国内線しか乗ったことないのかな? 国際線ではさ……」

って言ってみるのも悪くない。(本当は言えないけど、心の中でね)

結局、肘掛け一つで人間の性質が丸裸になる。

遠慮する自分、奪う自分、譲り合う自分。

狭いシートに詰め込まれた僕らは、みんなちょっとした領土争いをしながら、空を飛んでるんだ。

肩、凝らないといいけどね。

……さて、次のフライトはどこの席にしようかな。

真ん中、

狙ってみるか。
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