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2026マスターズ ― メンタル鬼畜TOSHIが語る

2026マスターズ ― メンタル鬼畜TOSHIが語る

児玉利文|
……ふん。

今年も俺は、あの場に立っていた。

元競輪選手として、今はただメカニックとしてな。

会場を見渡せば、いつもの光景だ。

アマチュアの群れの中に、プロの連中が紛れ込んでいる。

普段は競輪場で牙を剥く狼どもが、妙にリラックスした面構えでマシンにまたがっている。

だがな、スタートラインに立てば一瞬で変わる。

あの目だ。獲物を前にした獣の目。

胸を借りるなどと生易しい言葉じゃねえ。あいつらは本気で食い散らかしに来ていた。

プロがマスターズに出ることなど、世間じゃ賛否が渦巻くらしい。

意味ねえ、と吐き捨てる奴もいる。

「なんでそんなことするんだ」

と嘲る目もある。

俺は昔、そう言われた側だった。

だが、そんな言葉など、ディスクホイルの音にかき消される雑音だ。

俺は、好きだからやる。

自費でこの大会に滑り込んでくるプロどもは、本物のバカだ。

自転車という機械の、底知れぬ深みにまだ溺れている愚か者どもだ。

アマチュアもプロも関係ねえ。

皆、同じ地獄の匂いがする。

ただ純粋に、速さを、限界を、機械と己の魂を追い求めているだけだ。

そこに差などない。

差など、最初から作る必要などない。

Dogs……お前ら、なかなか良い目をしていた。

リラックスした顔の下に、ガチの牙を隠し持ったまま走る姿は、悪くなかった。

むしろ、久々に胸が熱くなったぜ。
このマスターズという舞台は、ただのレースじゃねえ。

自転車を愛しすぎた者たちが、己の限界と向き合うための、

静かな地獄だ。

俺はメカニックとして、ただその地獄の片隅でマシンを弄りながら思う。

……まだ、俺たちは終わっていない。好きだからやる。


それだけだ。
それで十分だろう?

TOSHIだ。
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