……ふん。
今年も松本の美鈴湖で、いつものようにメカニックサービスをこなしてきた。
パンクに調整。些細なトラブルはあったが、どれも致命傷にはならなかった。
まあ、俺がいる限り、そう簡単に壊させはしないがな。

そして、何より印象に残ったのは前田製菓の社長だ。
いつもスフィダーレクリットを熱心にサポートしてくださっている前田製菓株式会社 の社長、
日頃から「あたり前田のクラッカー」や「WAY TO GO」などでスポーツを応援してくれる前田社長が、自らトラックで日本一になる——本当に素晴らしいストーリーだろ。

45-49歳クラス、男子1kmタイムトライアル。
1分07秒122。
自己ベストをぶち破ってのナショナルチャンピオン。
……リスペクトしかねぇ。
ビジネスのトップに立ちながら、あの年齢でこのタイムを叩き出すとは。
ただ走るだけじゃない。
頭も体も、限界を少しずつ削りながらここまで来たのだろう。
そういう男の走りは、言葉じゃなく、気迫でわかる。
そこで目を引いたのは、RKチェーン MANEUVER だ。
1kmTTという、文字通り
「地獄の1分間」
を走る中で、あのチェーンはウルトラスムーズに噛み合いを保ち続けた。
全力で踏み込んだ瞬間も、滑ることなく力を路面に叩きつけていく。
……悪くない。
十分に、社長の走りを支えていた。
俺はただのメカニックだ。
だが、そんな男が限界に挑む姿を見ていると、つい工具を握る手に力が入る。
RKチェーン MANEUVERは、確かにこの優勝に一枚噛んでいたはずだ。
そして俺も……少しだけ、この走りに手を貸せた。
前田社長。
立派に、日本一を掴み取った。
……おめでとうございます。