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104cycle 地獄のメカニックTOSHIの近況

104cycle 地獄のメカニックTOSHIの近況

児玉利文|
……ふん。
最近、俺の店に今年の競輪選手養成所試験を受けるガキどもから、ホイールの調整とタイヤ交換の依頼が殺到している。
人生を左右する、一年に一度しかない大勝負。

合格すれば地獄の底から這い上がれる。
落ちればまた一年、暗闇の中で歯を食いしばるしかない。

そんな連中のマシンを前にして、俺の血がざわつく。
気持ちが燃える。
無論、自信など腐るほどある。
だがな、やるべきことは変わらんな。
「当たり前のことを、当たり前にやる」
これは大分でピスト一本で食ってるCHARLIE荒巻の言葉。

その通りだ。
派手な小細工も、魔法のようなテクニックもいらねぇ。
ただ、基本を極限まで突き詰めるだけだ。
……しかし、だ。
全国から送られてくるホイールの中には、呆れて言葉も出ない代物が山ほどある。
「お前、本気で合格する気があるのか?」
俺ならそう吐き捨てたくなるような、情けない状態のものだ。

振れ、テンションのバラつき、ハブのガタ、スポークの緩み……
見ているだけで吐き気がする。だが、安心しろ。そんな腐ったホイールでも、俺の手にかかれば生まれ変わる。

地獄のメカニックが本気で弄れば、合格ラインを余裕で越えるマシンに化ける。

限界まで締め上げ、魂を叩き込んで、走りたくてたまらない脚触りに仕上げる。
後はお前自身の覚悟と実力だけだ。俺はメカニックだ。

お前がどれだけ速く走れるかは、俺は保証出来ない。

だが、お前が持ってきたものを「最高の状態」にしてやることは保証する。
……さあ、来い。

養成所の試験場で、俺が調整したホイールがどんな咆哮を上げるか、存分に見せてみろ。
104cycle 地獄のメカニックTOSHI
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