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めんたいパークの、余韻

めんたいパークの、余韻

児玉利文|
こないだ、琵琶湖までふらりと出かけて、めんたいパークという不思議な場所に迷い込んだ。
縁もゆかりもない明太子が、あそこまで全身で「俺は明太子である」と主張している様は、なんだか微笑ましくも圧倒的だった。

帰りの車の中で、ふと思った。うちの店も、そういうふうになれないだろうか、と。
104サイクルは、ただの自転車屋ではない。

少なくとも、そうありたいと最近強く思うようになった。

 

高校生の君が、部活帰りに少し照れながら店を覗く。

男の子も女の子も、ピストフレームが壁に並ぶ様子を、遠慮がちに見上げている。あの目には、まだ「これから何かが始まる」予感が宿っている。

僕はコーヒーを淹れながら、昔の競輪の話を少しだけこぼす。厳しかったこと、嬉しかったこと、脚が攣って泣きそうになった夜のこと。

「まあ、やってみたらええよ」と言うと、君たちは小さく頷く。
その頷き一つで、店の中の空気が少しだけ柔らかくなる。
大学生の君。財布の中身と相談しながら中古のピストを眺めている。

男の子も女の子も、貧乏だけどちゃんとカッコよく走りたいという気持ちは同じだ。

ローラー台を借りて汗を流しながらレポートを書いている姿を見ると、なんだか自分の若い頃を思い出す。

「ここは勉強してもいいですよ」と伝えると、君は驚いた顔をして、それから安心したように笑う。

自転車と日常が、静かに重なり合う瞬間だ。
現役の競輪選手の君(女性選手も増えてきて本当に嬉しい)。

レース前の微妙な違和感や、誰にも相談しにくい小さな不安を、言葉少なに伝えてくれる。

元選手の僕だからこそ、ただ頷くだけで伝わることもある。
工具を手に、黙々と調整する。

特別なことは何もない。ただ「ここなら大丈夫」と思える場所でいてほしいだけだ。
そして、コアなピスト好きの君。男も女も関係なく、油の匂いの中でくだらない自転車談義に花を咲かせる。

君と僕は、時間を忘れて同じフレームの話や、走った先の風景の話をする。

そんなゆるくて熱い時間が、この店には流れている。
僕はこの店を、めんたいパークみたいにしたいと思っている。

派手なテーマパークではなくて、ただ「ここはピストと競輪のことを、誰よりも真剣に愛している場所」だと、来る人に自然に伝わるような店に。
高校生の君も、大学生の君も、現役選手の君も、コアなファンの君も。

男の子も女の子も、ふらりと立ち寄ってほしい。

それぞれのペースで、汗をかいて、油にまみれて、笑ったり、たまに落ち込んだりしながら、自転車と一緒に成長していってくれたらいい。
この神戸町の小さな店で、そんな風景が広がったら、僕はそれで十分幸せだ。
君がふらりと立ち寄ったとき、

「ここ、なんか落ち着くんですよね」と言ってもらえたら、それ以上の褒め言葉はない。
じゃまたな。
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