よっ、Toshiだ。
選手や一般のお客さんからたまに聞くんだよな。「新品のフレームは街道練習でガンガン乗り込んで、金属疲労させて乗り味を良くするんですよね?」って。
……は? 誰がそんなこと言い出したんだよ(笑)。
正直、そんなこと言ってる選手は物理を知らなすぎて呆れるレベルだわ。
金属疲労の現実をちゃんと知れ
クロモリは疲労限度を持つ素材だ。設計通りの応力以下で使ってる限り、理論上はほぼ無限に繰り返し耐えられる。
限度を超えて疲労が蓄積し始めたら? もう「乗りやすくなった」レベルじゃねえよ。BB周りや溶接部にクラックが入って、いつ折れるかわからん危険ゾーンだ。
- アルミ → 疲労限度なし。乗れば乗るほど弱くなる。(極端な話ね)
- クロモリ → 限度以下なら変化ほぼゼロ。これが「一生もの」って言われる本当の理由。
それをお前らの感覚で「金属疲労」って呼ぶのは、俺からしたらただの勘違い。毒を吐くようだけど、事実だから仕方ねえ。
実際の設計例:弟子に最初に乗せたグニャフレーム
詳しいデータは企業秘密で割愛するが、現役の時に作った俺のフレームは今振り返ってもヤバいレベルだった。
弟子(今G3連破してる奴)に何も考えずサイズが合ってるってだけで渡した俺のフレーム、データで引っ張り出して見返した時にひっくり返ったよ笑
「よくこれで走ってたな……グニャグニャすぎるだろ」って。
019、薄めのKaisei系をメインに、ダウンチューブやチェーンステイあたりを意図的に柔らかめにセレクトしてあった。
BB周りの左右しなり(ウィップ)が大きめに出る設計。
結果? 最初は苦労してただろうが、あいつはそれで鉄のリズムを身体で覚え込んだ。プロになってパワーが上がった今、カーボンとは違う「しなりを活かしたペダリング」が自然にできてる。(全部偶然笑)
これが俺の設計哲学の一つだ。
新品時の「硬い」感覚の正体
新品で乗った直後はみんな言うよな。「なんか硬い」「脚にくる」「進まねえ」って。
それはフレームが悪いのではなく、お前の神経筋系がまだBBの左右しなりと戻りのタイミングを学習してないだけ。
- 踏み込み時のしなりの溜め
- 戻ってくる反発のリズム
- 体重移動との連動
すると同じパワーで効率良く進むし、脚への負担も分散されて長持ちする。
これが本当の「馴染み」だ。金属疲労じゃねえよ。
競輪鉄フレームのウィップ設計の肝
競輪用では「ちょうどいいウィップ」が命。
- ガチガチ高剛性 → 脚への反動キツくて疲労爆発
- グニャグニャすぎ → パワーロス
- バランス → 力を溜めて爆発させるバネ効果
カーボン全盛の時代に競輪がまだクロモリ主流なのは、こういう「乗りこなす」楽しさと身体への優しさがあるからだ。
最後に一言
新品フレーム乗り込んで付き合え。
根気よく乗ってりゃ、ある日突然「あ、このリズムだ」と閃く瞬間が来る。
それが鉄フレーム乗りの醍醐味だ。
金属疲労神話に騙されて、無理な乗り込みでクラック作ってから後悔すんなよ(笑)。
定期点検はちゃんとやれ。俺の店で設計したフレームは長く乗ってほしいからな。
以上TOSHIだ。