ククク…そのTS9のBB…狂ってやがる。
ブリヂストンのTS9。ガールズ競輪や学生が好んで乗る良いフレームだが、あいつのBBを外そうとすると、T47のアダプターごとゴソッと持っていかれちまう。
整備性なんて言葉は最初からハチの巣だ。
回すたびに削れていく精度、無駄に消費される時間……
メカニックは、メンタル壊れる寸前のギリギリで踊らされてる。
だから造らせたよ。
超高精度な“専用工具”ってやつをな。
既製品のヌルい噛み合わせじゃダメなんだ。
寸分の狂いもなくアダプターを掴み、問答無用で捩じ伏せる。
これでいつでもバラせる……そう思った。
だがな……狂気ってのはそう簡単に連鎖しねえ。
作っちまったはいいが、出番がねえ。
今まで使ったのはたったの一度きりだ。
棚の奥でじっと冷や飯を食いながら、「次」を待つ鉄くず……ククッ、笑えねえ冗談だろ?
道具ってのは使って叩いて、限界の向こう側へ行かせてナンボなんだよ。
……だけどよ、女神ってのは本当に気まぐれだ。
来たんだよ。それも一度に2台同時にな……!
この工具を握った瞬間、手が震えたよ。
吸い付くような高精度。
回転の重み、金属の悲鳴……完璧だ。
アダプターの抵抗をねじ伏せ、2台とも極上の領域まで叩き込んでやった。
おい、全国のTS9乗り。ガールズも、高校生も、大学生も……全員、安心して眠りな。
お前たちのマシンは、もう俺の工具(てくび)から逃げられねえよ……。
Toshiでした!