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「固定ギアの叫び」

「固定ギアの叫び」

児玉利文|
メンタル鬼畜TOSHIだ。

引退したというのに……俺の脚は、まだ自転車を忘れちゃいねえ!

久しぶりに跨いだ固定ギア。

ペダルに足を載せた瞬間、ガチッと後輪と直結した感覚が全身を駆け巡る。

そうだ……

こいつはフリーじゃねえ。後輪が回る限り、俺の脚も回り続けなきゃならねえんだ!

その時、脳裏に閃いた一つの狂気じみた仮説――

やみくもに踏み込むんじゃねえ……後輪の回転に、ただ足を乗っけてりゃ……超スピードが出るんじゃねえのか!?

おおおおおっ!!

現役時代なら鼻で笑い飛ばしていた考えだ。

だが今、ゆっくりと、でも確かに回る後輪を感じながら、俺は試した。

「乗っける……ただ、乗っけるだけ……!」

……来た。

無駄な力みが消え、ペダルが円を描くラインが滑らかになる。

抵抗が、消える。

後輪の勢いが、俺の脚を通じて全身に響いてくる。

これは……!

ただの惰性じゃねえ。後輪と俺の脚が、完全に同期し始めた証拠だ!

固定ギアの真髄よ!

後輪が叫んでいる。

「お前は俺と一つだ! 離れるな! 一緒に回れ!」

その声に耳を傾け、力を「預ける」ようにペダルを回す。

ガチャガチャと力任せに踏むんじゃない。

接線方向に、わずかに、でも確かに力を伝え続ける!

だがそこで、物理の鉄槌が俺の脚を叩きつける!

「甘えんじゃねえよ……!!

完全に力を抜いたら、地面の摩擦と風が容赦なくスピードを奪う!

乗っけてるだけじゃ加速はしねえ! 常に前へ、前へ、押し続けろ!

スピードが上がれば上がるほど、ケイデンスは暴れ馬の如く跳ね上がる。

110……120……130rpm!

脚が後輪に支配されていく恐怖。

でもその恐怖の先に、未知の領域がある。

引退した今だからこそ、分かった。

現役の頃は「強く踏め」「効率的に回せ」ばかり考えていた。

だが本当の固定ギアは、そんなもんじゃねえ。

後輪と語り合う乗り物だ。

自分の脚と、後輪の鼓動が完全に重なり合う瞬間を追い求める……

それが固定ギアの戦いだ!

引退した俺にすら、新しい発見をくれる。

まだまだ、俺の自転車人生は終わっちゃいねえ!

次なる発見が、俺を待っている……!
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