Toshiだ。
今、帰りのフェリーに揺られている。
今朝、受験生を小倉競輪場に送り届けた。とりあえず一仕事終わって、肩の荷が降りた瞬間に、「ああ、歳を取ったな」って思った。誕生日かよ、って笑っちまうくらいだ。
7年目だ。
毎年、血反吐を吐くようなトレーニングを一年間続けてきた受験生たちの自転車を小倉まで運び、サポートする。それが俺の仕事だ。
行きのフェリーで、昔の同僚と偶然出会った。「とんでもない事してますね」と言われた。褒め言葉だとは思う。でも俺は、ただ「今まで完璧にこなしてきた」という自負があるだけだ。完璧にやってきたからこそ、毎年この時期になると不安に押し潰されそうになる。「今回こそ失敗するんじゃないか」って。
受験生から見たら、俺は「超ベテラン選手」だ。近寄りがたい存在にも見えるだろう。でもな、俺ははっきりと言っている。
「俺はお前のために来てる。
何でも言え。
少しでもめんどくさいと思ったら、俺がやるから言えよ」
これくらい強く言わないと、意味がない。遠慮して何も言えずに、一人で抱え込んでしまったら、一年間の努力が水の泡になる。
一年間、血反吐を吐くような練習を毎日続けてきた奴らが、自転車がないから試験を受けられなかったらどうなるか。極道の世界なら、小指が飛んでるレベルだろう。いや、それ以上かもな。
だから俺は言う。
俺が死ななかったら、何があっても、お前の自転車は小倉に届ける。
これを7年間、続けてきた。ハードすぎて、正直、もう来年は無理かもしれない。辛すぎて耐えられない、って本気で思う日もある。
それでも、俺はここまでやってきた。
完璧にこなしてきた自負がある。
不安に押し潰されそうになりながらも、今日も自転車を届けた。
受験生たちよ。
遠慮するな。
何でも言え。
俺はお前のために、ここにいる。
これが俺の、7年間の覚悟だ。
……フェリーの窓の外、海が暗い。
少し、眠くなってきた。
Toshiの朝は早い、寝るわ。