~Kooijmanの論文とか、競輪の血眼センター出しとか、なんか面白い話~
はあ……自転車ってさ、ほんとに不思議な乗り物だよね。
普通に考えたら、細い車輪二つで人が乗って高速で走ってるのに、なんであんなに安定してんの?って。
ジャイロ効果? トレール?
まあ昔からそう言われてたけど、2011年にScience誌に出たKooijmanっていうオランダの研究チームの論文が、それを「いやいや、そんな単純な話じゃないよ」って、優しくひっくり返したんだよね。
彼らが作った自転車、ヤバいよ。
逆回転のカウンターホイール付けてジャイロ効果をほぼゼロにしちゃって、トレールもわざと負(マイナス)にして、前輪の接地点をステアリング軸の前に持ってくるっていう、普通なら「絶対倒れるだろ」って設計。
でも一定の速度出したら、横から軽く押しても、ふらっと傾いても、勝手に修正してまっすぐ走っちゃうんだって。「自己安定」って言うんだけどさ、なんかロマンチックじゃない? 自転車が自分で「大丈夫、俺が直すよ」って言ってるみたいで。
要は、傾き(lean)とハンドルの切れ(steer)が、絶妙に連動してるんだよね。質量の置き方とか、角度とか、慣性とか、いろんな要素が複雑に絡み合って「いい感じのタイミング」で前輪が修正方向に動く。Kooijmanの論文読むと、設計次第でいろんな形が成立し得るってことがよくわかる。ジャイロもトレールも「助けてくれる要素」ではあるけど、必須じゃないんだ。
で、現実の競輪の現場に話が飛ぶんだけどさ。
選手たちが血眼になって後輪のセンター出してるのを見て、「ホイールは?タイヤはまっすぐ貼れてんのかよ?」って思ってた。
実際、ホイールは0.2mm台に振れ取りして、タイヤだってまっすぐ貼っても、フレームの根本的なアライメントが狂ってると、ホイールでいくら調整しようと、なんか変な感じが残るんだよね。これはメンタルなのか?と思うこともあるんだけど、
それはさ、Kooijmanが言う「自己安定の連成」が、微妙に乱れるからなんだと思う。理想的なジオメトリなら、自転車が勝手に安定しようとするんだけど、ちょっとズレてるだけで「修正ノイズ」が増えて、選手は無意識にハンドルや体重で補正しなきゃいけない。
固定ギアでバンク走る競輪じゃ、そんなノイズがタイムやレース運びに直結する。血眼になるのも当然だよ。
自分の延長みたいな相棒を、完璧にしたいって気持ち、痛いほどわかる。
昔、Chris Boardmanのアワーレコードで使われたLotus 108とかは、リアホイールを15mmくらいわざとオフセットして、空力最優先のぶっ飛んだ設計だったよね。
あれは特殊すぎる例外だけど、「極限まで追い詰めると常識は変わる」って教えてくれるいい例だ。
で、ここからが本題なんだけど。
自転車って、まだまだ未開拓の部分がデカいんだよな。
Kooijmanの研究見てると、「設計変数がいっぱいありすぎて、可能性は無限大」って感じがする。
過去の競輪界だって、個性的なスケルトンが生まれまくっては、試されて、消えていった歴史があるじゃん。
シート角がおっ立ったフレーム、競りに特化した超コンパクトフレーム、スローピング……。
NJSの枠の中でさえあれだけ遊んでたんだから、これから先、もっと面白いのが出てきても全然おかしくない。
質量分布を極限まで計算した非対称フレームとか、空力と安定性を両立させた異形パイプとか、Kooijman的な連成を意図的に強化した「勝手に直してくれる自転車」とか……。
次はなんだろうね?
誰か、凄いの見せてくれよ(笑)
そう思うと、自転車に乗ってる時間ってただの練習や移動じゃなくて、なんか自分と向き合ってる時間なんだよね。
理論を知ると、余計に愛おしくなる。血眼になってセンター出してた選手たちも、結局はこの物理の美しさに取り憑かれてたのかもしれない。
自転車はまだ、俺たちを裏切らないでくれる。
きっと次なる変態スケルトンを、誰かが静かに作ってるはずだよ。
(参考:Kooijman et al., Science 2011)