……ふん。TOSHIだ!
おかげさまで、俺の店は今日も忙しい。
今年の競輪選手養成所試験に向けて、ホイルの調整や自転車のセッティング依頼が殺到してる。
試験本番は10月だ。
なのに、もう始まってるんだよ。
受験生たちにとっては、人生を左右する一年に一度の大勝負だ。
合格すれば道が開ける。
落ちればまた一年、暗闇の中で足掻くことになる。
だからこそ、マシンの状態一つで結果が変わる。
俺はそのことを、身をもって知ってる。
依頼が来るたびに、俺は黙々と作業する。
ホイルの真円度を出し、スポークテンションを均一にし、タイヤを張り、全体のバランスを整える。
「これでいい」
と思えるまで、妥協はしない。
作業をしながら、心の中で祈ってる。
「お前ら、1年間積み重ねてきた成果を、ちゃんと発揮しろよ」
技術も根性も、全部マシンに乗せて試験会場に持っていけ。
俺にできるのは、そのマシンを最高の状態に仕上げることだけだ。
あとは、お前らが走る番だ。受験生たちよ。
絶対に諦めんな。
そして、1年の努力を無駄にするな。
……よし。
また作業に戻るぞ。
TOSHIだ。